お目当てのキャバクラ嬢
大きな仕事が来た。
自分がずっと憧れていた仕事だ。
この日のために、今まで頑張ってきたと言ってもいい。
でも今さらになって不安になってきた。
本当に自分にできるのか?成功させられるのか?
周りの人たちの期待がプレッシャーとなって自分にのしかかってきた。
こんな時は、くよくよ考え込んでいても仕方がない。
パーッと騒いで気分を上げた方がいいだろう。
そう思った俺は、タクシーで繁華街へと向かった。
目的の場所は、『高級キャバクラ』だ。
俺にとって高級キャバクラはパワースポット。
勇気や自信を手に入れたい時、必ず行くようにしている。
店の中に入ると、黒服がすぐに近寄ってきた。
「関口様!ご来店、誠にありがとうございます」
「いきなり来ちゃったけど、あおいはいる?」
「はい。すぐにお呼びしますので、少々お待ちください」
フロアに入ると、とびっきりでかいシャンデリアがまず目に入る。
高級キャバクラの内装はとにかく派手でゴージャスだ。
フロアを歩いているだけで『自分は特別なんだ』という気持ちが湧き上がってくる。
「関口さん!来てくれて本当にありがとう!」
「おう。お前の顔が見たくてな。なんでも頼んでいいぞ」
「きゃ~!うれしい!!さすが関口さん!!」
抜きモノを入れると、他の席の連中がチラッとこっちを見るのがわかる。
この瞬間、ちょっとした優越感を得られるんだ。
高級キャバクラの醍醐味とも言えるだろう。
「関口さん、今日は思いっきり飲みましょう!とことん付き合います!」
あおいはいつも俺の気分を正確に読み取ってくれるから居心地がいい。
その日はあおいと店でしこたま飲み、そのままアフターへ。
カラオケで思いっきり歌い、お互いにストレス発散した。
「関口さんといる本当に楽しいです!お忙しいと思いますが、また時間ができたらお店に来てくださいね」
そう言ってあおいと笑顔で別れた。
ふと空を見ると、ぼうっと銀色に明るくなっていた。
夜明けがやってくる。
その空を見ていたら、なんだか頑張れる気がしていた。